鳩山由紀夫首相が「改革の一丁目一番地」と重視する地域主権に向けた取り組みで、国から地方への権限移譲に閣僚が公然と抵抗し、閣内の足並みの乱れを露呈している。夏の参院選を前に、成果が得られなければ、政治主導が看板倒れに終わる。それだけに首相は抵抗する役所を一喝するなど、焦りの色を隠せないでいる。(酒井充)
「まだまだ踏み込みが不十分だ。農林水産省、環境省は権限移譲にゼロ回答で、話にならない」
鳩山首相は3月31日、自らが議長を務める地域主権戦略会議の席上、居並ぶ閣僚を前に珍しく怒りをぶちまけた。この日、国が地方自治体の仕事を法令で細かく規制する「義務付け・枠付け」の見直しに対する回答が出そろったが、省庁のサボタージュぶりがあまりにも露骨だったからだ。
戦略会議は各省庁に対し、保育所を利用できる保護者の条件の地方移譲など計751条項の見直しを求めたが、政府の地方分権改革推進委員会(3月で廃止)の勧告通りに見直すとの回答は53%の401条項にとどまった。「国が責任を持つべきだ」との理由が目立った。
分権委が都道府県から市町村への権限移譲を勧告した384条項についても、勧告通りか勧告以上の実施との回答は25%の96条項だけ。農水省は農地転用許可の権限を市に移すことに「専門知識を持つ職員がいない」などの理由で反対した。
分権委の勧告を「尊重する」と明言した首相にとってみれば顔に泥を塗られた格好で、2日の閣僚懇談会でも「一丁目一番地なのに踏み込みが足りない。もっと積極的に取り組むように」と、各閣僚にリーダーシップ発揮を求めた。
地域主権推進を担当する原口一博総務相も1日の政務三役会議で「協力しない人は内閣から去ってもらう」と言い切ったが、閣僚たちの反応は冷ややかだ。
名指しで批判された赤松広隆農水相は「何でも地方に下ろせばいいというのは間違いだ」と言い放った。米軍普天間飛行場移設問題や郵政改革案をめぐる混乱をほうふつさせるバラバラぶりをさらしている。
首相は6月に原案をまとめる「地域主権戦略大綱」(仮称)に向けさらなる見直しを目指すが、政務官の一人はこうつぶやいた。
「事態は深刻だ。政務三役が役所に取り込まれている。自民党の族議員以上の抵抗ぶりだ」
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